SUSAN CIANCIOLO

平年と比べて今年は気温が高く、僕ら服好きからするとかなり厄介だったが、やっと涼しくなってきた。そのちょうど良いタイミングで、スーザンチャンチオロがNYからやってきた。

現在、NYのアートギャラリーBRIGHT DONAHUEに所属している彼女が、2021年から「RUN COLLECTION」を再始動し、ファッションの側面は以前にも増して拡大している。さらに、SPAINの「CIBIRIAN GALLERY」の展示や、学校の教師としての活動、モデルなども積極的に行っており、多忙な中FOMEのために服を作ってくれた。

「RUN」は、学生時代陸上部に所属していたことから、走り続ける、進み続けるという意味を込めた名前である。それは、1995年からブランドをスタートし、27年の月日が経ちシングルマザーとなってもなお活動をやめない姿勢に、名前の重み、彼女の執念、を感じさせられる。

また彼女の服が、全て手作業によって、生まれるということもその気質を感じとれる。使われなくなり価値がなくなった服たち、途中まで使用され捨てられるそうな布切れ、紙、植物、彼女の身の回りにある全てのものを、繋ぎ合わせた服。それはNYに構えるファッション学校「パーソンズ・スクール・オブ・デザイン」で学んだ技術と、彼女の既成の服を切り取る繋ぎ合わすといったシンプルな手法、これまで数多くコラボレートしてきたアーティストの影響もあり、他と類のない別次元の服へと生まれ変わる。そして、従来のファッションサイクルとは別の枠組みに位置付けられるそれは、快晴の日に見られる太陽のように神々しくパワーがある。

始末されず長く垂れ下がった糸は、心を惹きつけられる。



服好きな人も、最近服に興味を持ち始めた人、誰にでもとは言えないが、興味がある人には服から発せられるパッションを感じとってほしい。

 

倫太郎